長男・和秀、長女・慶子と(写真提供:淳子さん 以下すべて)
小学校の教科書で『附子(ぶす)』という狂言にふれた人も多いのでは。伝統芸能である狂言の歴史は、歌舞伎より古く室町時代に遡り、およそ650年。その歴史のなかで初めて女性狂言師となった和泉淳子さんが、狂言の面白さや日本文化、家族のことなどを綴ります

3つの別れとはじまり

「春の交差点」

桜の便りも訪れ、いよいよ春本番。

そんな弥生3月の終わりと卯月4月のはじめは、別れとはじまりの交差点のようだ。令和8年の春は、私にとって3つの交差点が同時多発、まさに渋谷のスクランブル交差点のよう。

皆さんはいかがお過ごしであろうか?

私にとってのまず一つ目のお別れは、「お弁当づくり生活との別れ」。

今年、2人目の子どもである長男・一秀(舞台では和泉流狂言師・和泉和秀)が、いよいよ高校を卒業して大学生になるという事で、晴れてお弁当づくり任務終了となる(万歳!)

世のお母様方は、お仕事をされているか否かに関わらず、中学からは少なからずやってきたであろうお弁当づくり。そこには親子の数だけたくさんの物語がある。そう、必ずある。

我が家のお弁当は、通年でミニトマトや彩り野菜が苦手な息子のオーダーで茶色っぽいお弁当になりがち。だが、ブロッコリーの存在に救われ続けた。何は無くてもブロッコリー、一にも二にもブロッコリー。そう、癌予防にも効果のあるとされるブロッコリーはお弁当箱の秩序を守るレギュラー選手であった。

またある日は、保温のランチボックスにの下の段にギュギュっとご飯を押しながら詰めたら、ふりかけが全部上段の底についてしまい、帰宅後文句の嵐となったり。

二段重ねのある日のお弁当

中学、高校と剣道部に所属していた息子は身長も随分と伸びて178センチとなり、今では和泉流宗家ファミリーの中で一番のノッポとなった。最年少のノッポの誕生だ。

男子あるあるとはよく言ったもので、女の子であれば最後のお弁当の日、空になったお弁当箱と一緒に可愛いレターセットで、今までのお弁当づくりを労うメッセージなどがいただけるようだが、男子はちと違う。一概には言えないが、まず前段として我が家の男子はかなりの照れ屋である。そして、舞台の事以外は母に話すより父との方が話しやすいらしい。でもそんな息子が私にもお弁当最後の日に一言メッセージをくれたのだ。