男性が女性を演じる意味とは何か。現代劇と歌舞伎それぞれで女性を演じてきた篠井英介さんと尾上右近さんに、2人の舞台を長年観続けてきた関容子さんが切り込みます。(撮影:岡本隆史 聞き手:関容子)
子どもがいきなり本気を出した
右近 僕は3歳で『鏡獅子』を観て、すぐに尾上墨雪先生、当時の菊之丞先生に入門し、日本舞踊の稽古に通い始めました。
篠井 藤間流の踊りをやっている身からすると、右近さんの踊りは、振りと振りとの間がものすごく充実しているんですよ。
右近 それは(坂東)玉三郎のお兄さんにもずいぶん言われました。点と点の間の線が重要だってことを。でも僕にとって『鏡獅子』に関しては別物なんです、感覚的に。踊りっていうよりも何か、《空気の連続》という感じなんですよね。
六代目菊五郎のイメージはすごく大きいです。やはり古典の世界ですから、それぞれのお役にそれぞれ先輩たちのイメージはあるんですけど、『鏡獅子』に関してはもう自分自身でいかないと、という気持ちが昨年の歌舞伎座での公演から強くなりました。それは不思議な感覚でしたね。
篠井 素晴らしい。突き抜けたんですね。右近さんは邦楽の、清元のおうちに生まれて、役者のほうに行きたいと思われたのはいつ頃からなんですか。まぁ、二刀流で、両方の世界でご活躍ですけど。