老化が原因で起こる目の不調。
「加齢性眼疾患」が潜む可能性も
機能低下により負担が増えて疲れ目に
40代半ば頃から、多くの人が感じ始める目の不調。それらの主な原因は、目を構成する器官の老化です。目が疲れる、物がぼやける、かすんで見えるといった症状は、水晶体や毛様体筋(もうようたいきん)(図参照)などが衰えることで引き起こされます。
「物がはっきり見えるのは、毛様体筋という筋肉が、カメラのレンズと同じ働きをする水晶体の厚みを変えて、ピントを調整しているからです。人間の目は本来、毛様体筋がゆるんでいて、水晶体は薄くなっています。この状態で遠くにピントが合っており、近くを見る時に毛様体筋が縮み、水晶体が厚くなるのです。
ところが、年齢とともに水晶体の弾力が低下すると、水晶体を厚くすることができず、近くが見えにくくなります。これが、老眼です。
さらに、老眼を矯正せず無理して近くを見ようとすると、目がしょぼしょぼする、まぶたが重いなどの疲れ目だけでなく、肩こりや頭痛を引き起こす原因になります」(東京女子医科大学教授・飯田知弘先生。以下同)
ドライアイも、目の不調を引き起こす原因の一つ。ドライアイとは、涙の量が減ったり、涙の成分が変化したりすることで、涙の層が不安定になる病気です。
「涙は、水と油、ムチンという粘液から主に構成されていますが、加齢により涙の量は不足します。加えて、ムチンを産生する結膜や、油を分泌するマイボーム腺の機能も衰えるため、涙の層が不安定になり、目の乾きや見づらさ、目の疲れを生じてしまうのです」
老眼やドライアイが原因で引き起こされる目の不調は、日常のケアで緩和するそう。
「老眼による疲れは、視力に合った眼鏡やコンタクトレンズを使用することでかなり改善されます。ドライアイの症状も、点眼薬をさしたり、ホットタオルで目を温めたりすることで軽減されるでしょう」
不調を放置していると、頭痛や肩こり、食欲不振などの症状をともなう「眼精疲労」に進行することも。
「休息や睡眠をとっても目の疲れが改善しない場合は、眼科で適切な治療を受けることをおすすめします」