(写真提供:Photo AC)
国士舘大学大学院客員教授・八幡和郎先生は、「近代日本において、全国のどこで生まれても地元の各都道府県に名門高校があり、良質な高校教育を受けることができることは国力の源泉となってきた」と語っています。当連載では、そんな八幡先生の著書『日本の名門高校 - あの伝統校から注目の新勢力まで -』から一部を抜粋し、全国の名門高校をご紹介していきます。今回取り上げるのは「甲陽学院高校」です。

甲陽学院高校 私立/男子校/中高一貫/兵庫県西宮市角石町

灘高校のライバルだが京大志向で経済界で活躍

甲陽学院高校は中高6年間の完全一貫制の男子校で、高校からの募集はしていないが、中学と高校では校地が別々で、教育方針もまったく違っている。いずれも高級住宅街である西宮市の夙川沿いにあるが、中学校は阪急夙川駅から浜側に1.7キロ、高校は六甲山側に3キロほどの海抜170メートルの高台にある。

中学では制服もあり、基礎的な学力や体力の養成と基本的な生活習慣の確立をめざし、一方、高校では将来の自己実現のために必要な自主性と創造性の伸長を重視し、校則もほぼなく、自由な校風である。

「桜梅桃李一時之春」を建学の精神としているが、桜梅桃李のように、人それぞれ独自のかたちで花を咲かせようという意味。「明朗・溌溂・無邪気」の校風のもと、情操教育を重視し、規律の励行や礼儀作法が体得できるようにつとめているとしている。「在野精神」「おっとりした気風」「起業精神」をもってその校風だという説明もある。

甲陽学院高校は大正9年(1920)に日本酒の「白鹿」で知られる辰馬本家酒造の辰馬吉左衛門によって創設された財団法人辰馬学院甲陽中学校に始まる。さらに、その淵源は大正6年(1917)に甲子園に設立された伊賀駒吉郎(当時の関西教育界の第一人者)による私立甲陽中学にまで遡るとしている。

2月に「耐寒登山」という行事があり、高校の校舎から有馬温泉まで歩く。卒業式の第二部として劇、芸、仮装、音楽など無礼講が慣習になっており、京都大学のコスプレ卒業式の源流ともいわれる。野球部は、大正12年(1923)に夏の甲子園で優勝した。