(『豊臣兄弟!』/(c)NHK)
天下一の補佐役とも称される豊臣秀長(仲野太賀)の視点から天下人となる兄・秀吉とともに、戦国時代を突き進む姿を描く大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。物語は折り返し地点を過ぎ、いよいよ7月12日放送の第27回では、織田信長が明智光秀に討たれる「本能寺の変」が描かれる。今作で描かれた信長は、カリスマ性と強引さが目立つものの、部下を信じて許そうと模索する姿も描かれてきた。今作で信長を演じたのが俳優の小栗旬さん。「人間らしい信長になった」と振り返る小栗さんに作品に込めた思いを聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部)

「意外と裏切られている」

信長役をお受けしたのは、小一郎(秀長)を演じる仲野太賀くんと、秀吉(藤吉郎)役の池松壮亮くんの存在が大きかったです。それに、一度ちゃんとした織田信長を演じてみたくて。以前主演したドラマ『信長協奏曲』(2014年、フジテレビ系)は、現代の高校生が戦国の世にタイムスリップして、信長の身代わりとして生きる話。いわば信長のフェイク役。今回、ちゃんと信長を演じるという夢が叶ってよかったです。

<織田信長は尾張の大名。織田家の家督争いを制した後、桶狭間の戦いで今川義元を破り、勢力を拡大した。古い慣習にとらわれない改革を進め、身分に関係なく能力主義で家臣を重用。楽市楽座など商業の発展にも力を入れた。一方で、比叡山延暦寺の焼き討ちでは、僧や住民を殺害するなど苛烈な一面も知られている>

役作りで資料を調べていたら、信長は意外と裏切られた回数が多いんです。

弟の信勝(中沢元紀)との家督争いでは、一度は信勝を許したのにもう一度謀反を企てられたので、信勝を謀殺します。その後、妹の市(宮崎あおい、さきはたつさき)が結婚した浅井長政(中島歩)と義理の兄弟になり、市を挟んで「いい兄弟関係」を作れるかもしれなかったのに長政は信長を裏切ってしまった。さらに、松永久秀(竹中直人)も裏切りましたよね。信長は久秀のことは2回も許しているんです。

(『豊臣兄弟!』/(c)NHK)

これだけ裏切られていたら疑心暗鬼になるし、人を信じることができないところまで追い込まれてしまった。調べるほどに、世間によく言われているような「修羅の人」という信長像が持ちづらくて。何か言い分があれば許す人だった気はしています。