(画:一ノ関圭)
詩人の伊藤比呂美さんによる『婦人公論』の連載「猫婆犬婆(ねこばばあ いぬばばあ)」。伊藤さんが熊本で犬3匹(クレイマー、チトー、ニコ)、猫3匹(メイ、テイラー、エリック)と暮らす日常を綴ります。今回は「多頭飼いの数式」です(画:一ノ関圭)
あたしは一人っ子だ。寂しいでしょうなどとよく言われたが、ずっと一人っ子だったから、それしか知らないから、寂しいもへったくれもない。一人っ子は親の関心も介護の苦労も遺したお金も独り占めで、介護や家の処分は誰にも相談しなくてよくて気楽だった。結婚した相手も一人っ子だった。気が合ったのはそれも大きかったと思う。一人っ子はケンカが苦手だ。もしあたしたちが一人っ子じゃなかったら、別れなくて済んだかもしれないと思うことがある。
こんなに一人っ子を満喫していたのに、なんで三人も産んだかというと、子育ても妊娠出産も楽しかったからだ。その上姉妹というのはやはりいいもんだ。あたしが苦労して手に入れた親友が、初めから身近にいるわけで、その「一人じゃない」感じは格別なんじゃないだろうか。世間には仲の悪い兄弟姉妹もいるから一概には言えないが。
さて、猫の話を続けます。
