エリックの病気は長引いて、獣医の先生から猫伝染性腹膜炎の可能性もあると言われたのだった。ああそうですかと平然と聞いて家に帰って調べて驚いたのなんの。致死率のひどく高い、助かるにしても医療費の高い、怖ろしい病気なのだった。伝染性というけど、ほかの猫にうつるわけではないそうだ。原因といったら「やっぱり仔猫が来たことによるストレスでしょうかねえ」と言われた。
あたしは何度も獣医に連れて行ったのだが、いっこうによくならない。でもよくならないわりには悪くもならないので、先生からはたぶん猫伝染性腹膜炎じゃないだろうと言われた。それならはっきりと治ってくれればいいものを、エリックはぐずぐずと不機嫌さをひきずっている。
出てこない。遊びに加わらない。メイやテイラーとはぺったりくっついて寝ていることもあるが、ジェシーのことは毛嫌いするようになった。ジェシーが近寄ると、「ふー、しゃー、かー(ぺっ)」と吐き捨ててどこかへ行く。ほんとにツバを吐いてるみたいな顔でいやがって逃げるのだ。
ところが仔猫は鈍感きわまりなく、どんなにいやがられてもぜんぜん懲りずに、遊びたがって跳びかかる。そしてまた「ふー、しゃー、かー(ぺっ)」と言われる。
猫はみなこんなふうに図太いのか(犬はもっとずっと繊細だ)、ジェシーが特別に図太いのか、それともいつかは心に傷がたまっていくのか、そこはわからないが、ジェシーが遊びの相手を失い、ちい兄ちゃんみたいな存在を失ったのはわかる。
