世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、50代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第67回は「手土産はおばさんの愛」です。
接待の手土産ランキングは?
おばさんゾーンに突入してから、いつの間にか集合のたびにせっせと手土産を用意するようになった。先日も同年代での食事会の終盤でこんな一幕があった。
「あ、これ、ホラ、最近お見舞いとか色々といただいていたから……」
「わ〜、ありがとうございます!」
「はい、FさんとYさんにも」
「ありがとうございます、私も……(持ってきました)」
「すみません、私、今日バタバタしていて何も用意できなくて」
女性同士の飲み会に手土産を持っていくことがいつから習慣になったのか、はっきりとは記憶にないけれど、会を締めくくるちょっとしたイベントのようになっている。選ぶのも楽しいし、単純にもらってもうれしい。「あの人にもらったんだな」と、良い意味の爪痕を互いに残せる。
余談だけど会社員時代、接待の際にいつも私は下っ端ゆえに手土産係だった。都内あちこちのデパートを駆け回り、手土産をいつも必死で探していた。接待に参加する面々は企業の上層部なのでかなりの情報通が多く、下手なシロモノは渡せない。毎回、何にしようかと懊悩していた中、手土産ランキングでいつも上位に食い込んでいたのが、地元の浜松市の「三ヶ日みかん」だった。地元人だからこそ持っている知り合いからのルートで、甘くて安い果実を手に入れ、プレゼント用の包装をして「重くなりますが」と渡す。後日お礼のメールで「本当においしかったです。ぜひ購入したいのですが……」など、大層喜んでもらえたのを思い出す。
都会の高級青果店でも買えない地元人しか知らない味は、どんな食通にも贅沢な味だったらしい。もし接待時の手土産メニューに困っていたら、ぜひ一度、自分の地元の味を選んでみてほしい。
