『婦人公論』​で連載中の藤原しおりさんのエッセイ「藤原しおりの TOKYOで世界一周」。毎回、TOKYOに息づく世界各国のカルチャーや、人々の暮らしを藤原さんがレポートします。第3回は「高田馬場のリトル・ヤンゴン」です。ここでは、誌面では伝えきれなかった訪問先の情報もお伝えします。(撮影:本社写真部)

第2回●「代々木上原の祈りの場・東京ジャーミイは「羽を休める場所」」 

とんでもなく私好みの味ではないか!

「ミャンマーすっごく好きかも~!」

「しおりさん、その言葉もう10回以上は聞きました(笑)」。同行する担当編集者さんにそう言われハッとした。そう、この日私はミャンマー料理の虜になった。

ミャンマー料理を食べるのは初めて。ナマズのスープ麺「モヒンガー」、お茶の葉サラダ「ラペットゥ」、ひよこまめ豆腐の揚げ物「トーフジョー」……聞いたことのないメニューたち。ミャンマーでは定番らしいが、日本人の口に合うのだろうか? 失礼な話、実はあまり期待していなかった。

ミャンマー料理の老舗「ミンガラバー」の人気メニュー、「モヒンガー」。ナマズの出汁のスープに米の麺。現地でも国民食として親しまれている
発酵したお茶の葉を使ったサラダ「ラペットゥ」は、揚げたナッツや干し海老と和えた、香ばしい味

恐る恐る食べてみる。ちょっと待ってくれ、とんでもなく私好みの味ではないか! こってりした見た目とは相反する、なんとも言えない優し~い味付け。数分前までドキドキしていた自分が嘘みたいに、どの料理もペロリと平らげた。