健康維持や減量法の一つとして定着してきた、糖質制限。けれど、誤った方法で続けるとエネルギー不足を招いてしまうこともあるのです。大切なのは、糖質コントロールの正しい知識を身につけること。無理なく続けて、未来の病気のリスクを下げましょう(イラスト=おおの麻里 取材・文=鈴木裕子 構成=渡部真里代)
糖質とカロリー、同時に減らすと体力や筋力の低下に
主食を減らした分、タンパク質をしっかり摂る
ここ数年、体重コントロールや生活習慣病の予防になると注目を集めている「糖質制限」の食事法。糖質を制限するだけなので挑戦しやすいという利点がありますが、半面、挫折してしまう人も多いようです。
その理由について、これまで6000人以上の指導にあたってきた管理栄養士の麻生れいみさんは、「挫折の最大の理由は、エネルギー不足」と話します。特に減量目的の場合、「食べる量を減らさなければ」と、ご飯やパンなどの糖質だけでなく、肉や魚の量も減らしてしまう人が少なくないのだとか。
「その結果、体力や筋力が低下し、疲れやすくなる場合も。糖質を減らした分、タンパク質やビタミン、ミネラル、良質の脂質、食物繊維をしっかり摂って、充分なエネルギーを補わなければなりません。特に筋肉の減少が顕著になる40歳以降は、将来の歩行困難や寝たきりを防ぐためにも、筋肉の材料となるタンパク質は、意識してたっぷり摂る必要があるのです」(麻生さん。以下同)