川嶋朗先生(左)と磯野貴理子さん(右)
猛暑続きで、いつも以上に不調を感じていませんか? その状態を軽くみていると、秋まで不調を持ち越すことになりかねません。夏バテ放置に警鐘を鳴らす川嶋朗先生に、大病を経験後、健康への意識が高まっている磯野貴理子さんが対処法を聞きました(構成=丸山あかね 撮影=大河内禎)

<前編よりつづく

38~39度のお湯に15分くらい首までしっかり

磯野 冷えを回避するには、適度な運動をして筋肉量を増やすこと。それから栄養バランスの良い食事を摂り、よくかむことを心がける、と。今日から実践できるよう、ちゃんとメモしておきます。

川嶋 ではそこにもう一つ、「質の良い睡眠」を加えてください。

磯野 快適に眠るための環境づくりって、とりわけ夏は難しいですよね。たとえば私のような寒がりは、冷房をつけたまま寝るなんて考えられない。でも寝汗をかくこともあって、「暑すぎたのかな?」と心配になります。

川嶋 体温調整力が著しく落ちている高齢者には就寝中の冷房が必須です。ただほかの世代の人は本来、冷房に依存せずに眠れれば、そのほうがいいに決まっています。快適な環境は人それぞれですから、お腹にだけタオルケットをかけて温めるなど微調整をすればいいのです。ただ、寝汗は気になりますね。寝汗は興奮状態、つまり交感神経が優位に働いているときにかくものなんですよ。

磯野 交感神経が優位だと、眠りが浅くなるんですか? これも悩んでいる人が多そうですけれど。

川嶋 副交感神経が優位になると血管が緩み、心拍数や血圧が低下し、リラックスした状態になる。だから質の良い睡眠をとることができるのです。そのために有効なのが、毎晩、寝る前にお風呂に入ること。夏場は38~39度のお湯に15分くらい首までしっかり浸かると良いでしょう。

磯野 38~39度ってぬるくないですか? しかも15分って、ちょっと長いかも。

川嶋 お湯の温度が低い分、体が温まるのに15分くらいかかります。風呂上がりに汗をかかない程度の温度がいいんです。15分くらい浸からないと湯船から出る気にならないはずですから、ぜひ今晩から試してみてください。