貯金を巻き上げようと獲物を狙う身内の金食い虫。断固拒否できればいいのだけれど、そうもいかない。木俣さん(仮名)一家の場合、義妹の「金の無心」に振りまわされて……金銭トラブルのオンパレードの体験に驚くばかりです
それは、台所と風呂を貸したことから始まった
3年前の9月、夫の妹が乳がんで亡くなった。彼女の死に、私は心の底からホッとしたものだ。「もうこれでお金を取られることはないんだ……」と。
夫と結婚して今年で30年。米とみかんの専業農家で、私たち夫婦と夫の母親の3人で細々とやっている。収入は作物の出来に左右されるので、よければウハウハだが、悪ければ食費にも事欠くことになってしまう。収入減に備えてしっかり貯金しておかなくてはならないのに、それをことごとく食い潰したのが、この義妹なのだ。
私たち夫婦の結婚から半年後、義妹も結婚した。だが、同居した姑と折り合いが悪く、ほどなくして義妹はわが家に入り浸るようになった。姑たちが住む1階の台所を使うのがいやだからという理由で、毎日うちで夕食を作り、風呂まで入って帰る。
使った鍋やフライパンはいつも洗いもせず放りっぱなし、入浴中もシャワーを出しっぱなし。ガス代や水道代を払うそぶりすら見せなかったが、夫の妹ならば家族同然だし……と私は我慢していたのだった。
ところが、彼女が長男の出産で入院した時のことである。退院当日になって、「入院費が払えない。あとで返すから立て替えて」と連絡してきた。出産のための入院なのだから、お金が必要になることは前からわかっていたはず。それなのに用意できていないとは、義妹もその夫もいったい何を考えているのか。よっぽど生活が苦しいのか……。不審に思いながらも、私は病院に行って立て替えてやったのである。