詐欺師まで登場、トラブルのフルコース
さらに義妹の行動はエスカレートし、犯罪にまで手を染める。わが家の食器棚の引き出しから健康保険証を盗み出し、知り合いの男に夫のふりをさせて消費者金融のカードを作り、金を引き出したのだ。3社目のカードを作ったところで、怪しんだ会社側がうちに問い合わせをしてきて発覚、それからは大騒動になった。
相談に行った弁護士に、夫になりすました男の名前を伝えると、「またこいつか」と。有名な詐欺師だったのだ。そんな男と、義妹はいったいどこで知り合ったのか。
この件で相談した弁護士、警察、親戚の誰もが、口を揃えて「甘やかしすぎだよ」「もう突き放したほうがいい」と言った。そんなのわかってます! 私も夫も、もっと早くに突き放したかった。でも、揉めるたびに夫の母が泣いたりキレたりして義妹をかばうものだから、できなかったのだ。私は嫁の立場から強くは言えず、夫も母親には頭が上がらない。
この事件のあと、さすがに義妹が金を借りにくることはなくなったが、母親から年金を巻き上げたり、ヤミ金に手を出して請求先を親戚にしたり……トラブルのフルコースだった。
結局、借金の理由で本当だったのは、出産の入院費用と子どもの進学費用だけで、あとはみんな嘘。しかも、義妹の死後にわかったことだが、彼女の夫は借金のことを知らなかったという。わが家から吸い取った総額550万円を、いったい何に使ったのか? 本人が死んだ今となっては、もうわからない。
夫の母は、以前「あの子によくしておけば、将来いいことがあるから」という迷セリフを吐いた。今年も不作だし、老後の見通しも真っ暗だけれど、いつか《いいこと》が起こるのを待っている。