イラスト:浜野史
昨今、さまざまなシーンで「認知症予防に効果あり!」という謳い文句を見聞きします。しかし科学的に信頼性の高い予防法は、まだ限られたものであるのが現実。ここでは、認知症予防研究の第一人者である浦上克哉さんから、基本的な知識を得て、病の全貌を知ることからはじめましょう。(構成=島田ゆかり イラスト=浜野史)

Q1. 認知症とはどのような病気ですか

A1.日常生活に支障をきたしたら、すでに症状ははじまっています

認知症とはさまざまな認知機能が低下する病気で、「日常生活に支障がある状態」と定義されます。9つある認知機能──「近時記憶」「見当識」「視空間認知機能」「注意機能」「作業記憶」「計算力」「思考力」「遂行力」「判断力」のうち、多くの人が最初に支障をきたすのが「近時記憶」。水道の流しっぱなし、ガスコンロの消し忘れなどがこれにあたります。

次に「見当識」障害が表れ、時間や場所、人を認識しにくい状態に。そして「視空間認知機能」が低下し、車庫入れ時に車をぶつけたり、椅子に正しく座れなくなったりします。さらに病状が進むと意欲が低下。感情がコントロールできなくなって暴言を吐くことも。徘徊がはじまるケースもあります。

人によって症状の出方や進行のスピードは異なりますが、一般的にこのような段階を踏みながら、徐々に進行していくと思ってよいでしょう。