イラスト:星野イクミ
家にいた頃はわかりあえたのに、結婚するとこうも冷たくなれるもの? 茨城県でパートをしながら一人暮らす内藤加寿江(83歳・仮名)さんは、娘に送った野菜を迷惑がられ…

黙って捨てれば済むものを…

35歳で離婚し、女ひとりで育てた娘は60歳、息子は50歳になっているが、今も心配はつきない。

初夏のある日、〈明日の午前中に小包が届くから受け取ってね〉と娘にメッセージを入れた。無農薬・有機栽培で育てたトマト、キュウリ、エンドウ、ナス、ピーマンなどを早朝収穫して、少しずつ詰めた箱を発送してきたところである。以前から娘に「小包を送る時は、私の許可を得てからにして」と言われてはいたものの、とにかく穫れたての新鮮な野菜を味わってもらいたい、と気持ちが先走ったのだ。すると、娘からメッセージが届いた。

〈なぜ止めてほしいと言っていることを繰り返すのですか。これ以上嫌がらせはしないでください〉

〈え、そうなの。わかりました。今後送りません。ごめんなさい〉

初ものや形のいいものをと、早朝から収穫して箱詰めした野菜だったのに。娘も嫌なら黙って捨てれば済むものを、生真面目に怒りをぶつけてくる。嫌がらせとまで言われれば、娘の健康を案じる親の気持ちも萎えて、今後一切送らなければトラブルもなくなるわけだし、楽だわ、と思うことにした。もう知らん!