孫かわいさに娘の言うことを聞いているうち、要求はエスカレートして(写真提供:写真AC)
大人になれば親子の距離感は変わるもの。かつての守り守られる関係は、親の老いとともにどのようなパワーバランスの変化を見せるのでしょうか。今回は72歳のクミコさんと、年をとって授かった娘、ユミさんのお話。親にできることは何でもしてやってきたというクミコさん夫婦でしたが、出産後、ユミさんの要求はエスカレートしてーー。

実家はスポンサーか!? 孫可愛さを利用され

「コロナのワクチンなんて絶対に打たないから!」

娘のユミさん(34歳・仮名=以下同)のヒステリックな物言いに、辟易しながら苦笑いするしかなかったと、クミコさん(72歳)は言う。

「もうこうなったらテコでも動かないのが娘の性格です。友達の影響か、陰謀論か知らないけど、ネット情報に振り回されているのが見え見えで。分別がなくていやになります。しょっちゅう孫を預けに来るんだから、ワクチンを打ってちょうだいとお願いしても、『ママはワクチンで大勢が死んでること知らないでしょ。私が死んでもいいと思ってるわけ?』と真顔で言うから、うんざり」

子どものころは利発で可愛い自慢の娘だった。ただ、何事にも熱しやすく冷めやすい。

「苦労して入った大学も1年で退学。声優になりたいと養成所に入ったものの、夢破れてあっさり退所。最初の結婚も半年で離婚です」

娘に甘い父親はその都度、入学金を払い込んだり、結婚費用を用立てたり。文句を言いながらも、娘の言うがままだったとか。