東京大学医科学研究所などの研究チームは、マウス実験から「老い」の原因となる「老化細胞」を除去する薬として「GLS- 1阻害薬」を見出した。今後、この薬により年齢を重ねても若さと健康を保つことができる未来がやってくるかもしれない…。とはいえ、実用化に至るのはまだ先の話。研究チームの東大教授・中西真氏が今からできる「老い」を抑制する生活習慣を解説する
適度なストレス負荷が老化防止に
GLS- 1阻害薬が一般的に使われるようになれば、「不死」は無理でも「不老」はいずれ実現できるかもしれません。
とはいえ、今すぐに、というわけでもありませんから、日々の生活のなかで、少しでも老化抑制につながることが実践できないか、と考えてしまいますよね。
ここでは、細胞老化を研究してきた私から、実践できそうなことをいくつか提案したいと思います。加減が難しいのですが、実は、ごく少量のストレスが加わることで、老化を抑制できることがわかっています。
強すぎるストレスは逆に老化を早めてしまいますが、ささやかなストレス、マイルドなストレスを多少かけ続けておくと、ストレスに対する抵抗性が獲得できます。
それにより、細胞が老化するのを一定程度抑制することができるようになるんです。たとえば、ダイエットをする人の多くがカロリー制限をすると思いますが、ある程度のカロリー制限は、老化を抑制することがわかっています。
マイルドなカロリー制限、必要な摂取量の8割程度に控えて、食べたいという気持ちをぐっと抑えて軽いストレスをかけておくのです。