腹八文目には重要な意味が
カロリーを一定制限することで、体内にNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)という補酵素が増えてきます。カロリー制限とNADは密接に関与していて、飢餓状態になると、体が必要とするのでNADが増えてくるのです。
そして、このNADは代謝を促進することで加齢性のさまざまな症状を改善させるといわれています。
腹八分目という昔の人の知恵は、実は非常に重要な意味があったんですね。とはいえ、飢餓状態がよいからと、本当に強い飢餓状態に自分を追い込んではいけません。強すぎるストレスは老化を早めてしまいます。
時折、一気に痩せたいからといって、絶食に近いような非常に過激なカロリー制限をする人がいますが、それは逆効果です。ストレス負荷が強すぎて、痩せることができたとしても一気に老化が進んでしまうでしょう。
あくまでもストレスは低用量にとどめておくべきです。しかし、そもそも必要なエネルギー摂取量というのは個人差が大きいので、適度なカロリー制限といっても、どの程度がその人にとっての「適度」なのか見極めがとても難しい。
よく、年齢や性別、身体活動量などから、一日に必要なエネルギー量を示す表などがありますが、その人の適正カロリーというのは、体型や代謝状態、日々の活動内容などによって大きく異なります。
個々人にとっての 適正カロリーがはっきりしないまま、「適度なカロリー制限」などと言っても無責任なことになりかねないし、下手にカロリー制限をして栄養不足になると、それはもう完全に体に対してよろしくない状態ですから、私もあまり積極的には言えない ところなのです。
ですが、栄養バランスに気をつけつつ適度にカロリー制限をすると、老化は抑制できるのです。それと同じことが紫外線などにも言えます。少量の紫外線であれば、体を強めて老化に対してむしろ予防的に働きます。しかし、その「少量」の見極めが難しい。
そこを超えてしまうと細胞にダメージを与えて老化を促進してしまうので、本当に難しいところです。