イラスト:小川かなこ
高齢化が進むなか、シニアの住まいが多様化しています。経済面、精神面での不安をできるだけ感じずに心地よく暮らせる「終のすみか」とは。これまで多くのシニアの住まい探しをサポートしてきたファイナンシャルプランナーに聞きました(構成=山田真理 イラスト=小川かなこ)

自宅以外の選択肢は「施設系」と「住宅系」

おひとりさまで最期まで自分らしく生きる――それには、「終のすみか」が重要なポイントになります。住み慣れた自宅でずっと過ごしたいと思っても、年を重ねるにつれて不便を感じたり、室内で転倒してケガをしたり。家で暮らすリスクは増えていきます。また、いざ介護が必要になったときに頼れる人が近くにいなければ、施設に入るという選択肢も出てくるでしょう。

急速に高齢化が進むなかで、高齢者向けの住まいはますます多様化しています。新聞や雑誌の広告には、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、シニア向け分譲マンションの情報が満載。また、両親など身近な人が最期を迎える施設として、特別養護老人ホームやケアハウス、グループホームを検討した経験のある人もいるでしょう。

選択肢が広がるのは良い面もある一方、特徴や違いがわかりにくく、見極めが難しいという問題も生じています。私はこれまでファイナンシャルプランナーとして、資金力に応じた「終のすみか探し」をサポートしてきました。ご相談を受けるたび、高齢者向けの住宅・施設について誤解している方がじつに多いと感じます。

それは、「高齢者向け住宅・施設=介護を受けて最期までそこで暮らせる」というもの。実際にそれが可能なのは、数多くある種類のうちの一部です。誤った認識のまま住み替えを実行してしまうと、後悔することになりかねません。