2022年7月10日、参議院選挙の投票日に、愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)で始まった大相撲名古屋場所。2年半ぶりに観客席の上限なしとなった今場所は、盛り上がりつつも波乱の幕開けに。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。
見どころが多すぎる、と思ったのに…
大相撲名古屋場所が愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)で始まった。
初日、暑い名古屋での力士たちの熱い戦いが見られると期待した私は、室温33度の部屋で首に手ぬぐいをかけて、額の汗を拭きながら心を熱くしていた。余談だが、家の冷房が苦手で、それを知っている友人から「エアコンつけろ、死ぬぞ」とメールが入ることがある。
横綱・照ノ富士の堂々たる連覇、大関・正代と御嶽海のカド番脱出、関脇・若隆景と前頭4枚目・若元春の幕内ブラザーズの活躍など、見どころが多すぎる、と思った。
ところが期待していた力士の皆さんが全滅し、そのショックで汗が引っ込んでしまい、自然に涼しくなった。
照ノ富士は、土俵際まで小結・阿炎を追い詰め、私は「勝った」と拍手をしたら、送り出された。照ノ富士は先場所も初日に負けたので、今場所は用心して欲しかった。
「危険ですから座布団を投げないでください」と館内放送が聞こえ、テレビ画面に観客が頭上に挙げたものの投げるのをためらっている座布団が映った。私がその観客に代わり、テレビの傍の冷蔵庫に、薄い座布団を投げてあげた。ただし、横綱を負かした阿炎への称賛ではない。横綱・大関・関脇で勝ったのはカド番の大関・御嶽海だけだったという不満からだ。
その気っ風の良さから応援している関脇・大栄翔は、幕内最年長の前頭3枚目・玉鷲にはたき込まれた。次の大関はあなたです、と期待していた関脇・若隆景は前頭2枚目・逸ノ城に寄り切られた。