この記事の目次
〈症状〉妄想や意欲低下など陽性、陰性の症状が
〈原因〉神経が過敏になり発症。体質的な側面も
〈治療〉副作用の少ない治療薬も登場 〈支援〉できたことをほめて無理をさせないこと

〈原因〉神経が過敏になり発症。体質的な側面も

原因ははっきりとはわかっていませんが、脳の中で情報伝達の役割を担っているドーパミンという物質が大量に出るのが原因の1つと考えられています。脳の神経細胞からの1つの信号が、2つにも3つにも過剰に伝わってしまう。すると神経が過敏になってきて、幻覚や妄想などの陽性症状が出てくるという考え方です。

ただ統合失調症には意欲が低下する陰性症状もあり、ドーパミンが過剰に出るという考え方だけでは、陰性症状をうまく説明できません。最近の研究では、神経の伝達を正常化するD‒セリンという物質が関係しているということもわかってきました。その点に着目した新しい薬の開発も進んでいます。

一般の発症頻度は、正確には0.85%ですが、両親のどちらかが統合失調症の場合、その子どもの約10%が同じ病気になる可能性があります。これは一般より高い比率です。こうしたことから、遺伝病とまでは言えませんが、統合失調症には体質的な要素も関係していることがわかります。

病気の発症には、職場や学校での社会生活や恋愛など、大きなストレスの具体的なきっかけがある場合も、はっきりしない場合もあります。また、発症の頻度に男女差はないと言われています。