「なんとなく調子が出ないな」と感じていたら、実は大きな病気が隠れているのかも(写真:Photo AC)
私たちの生活を一変させたコロナウイルス。その変化と同時に、世界中でメンタルの落ち込みやうつ症状を訴える人が増えている、と言うのがみらいクリニックの今井一彰院長です。しかし「小さな炎症が原因で、別の場所の大きな病気が引き起こされる」を持論とする先生によれば「気持ちが落ち込む」「だるい」と訴える患者の多くがどこかに“炎症”を抱えていると話します。さらに炎症は胃がんや心筋梗塞などの怖い病気にも関係しているそうで――。

慢性炎症はサイレントキラー

別の記事でもお伝えした通り、慢性炎症によって起こる病気はさまざまにあります。

まさに「炎」のようにボッと勢いよく燃えて鎮火も早いのが急性炎症なら、慢性炎症はボヤ(小火)のようなもの。火種がくすぶったままじわじわと広がるように体をむしばみ、最後にはおそろしい病気を引き起こします。

慢性炎症による病気のこわいところは、急性炎症のように強い症状がないところです。そのため、なんとなく調子が出ないなと感じることはあっても、ほとんどの場合、自分では気がつきません。

自覚症状がないまま同じ場所で炎症が続いてしまって、いつのまにか細胞が壊され、臓器や血管などの機能が低下してからはじめて病気になっていることに気づくのです。

たとえば炎症が引き起こす、歯周病。

歯周病もたまに出血したり、患部がうずいたりすることはありますが、初期には自覚症状がないことがほとんどです。歯周病が進行して、歯がグラグラになってから気づく人も少なくありません。

このほか、次に紹介する病気も慢性炎症が原因のもので、気づかないうちに進行して、命にかかわるような病気につながるリスクがあります。そのため、慢性炎症は、「サイレントキラー」と呼ばれることもあります。