血管の炎症は心筋梗塞・脳梗塞に

動脈硬化は、弾力があってしなやかな血管が、硬くもろくなることです。新品のホースはやわらかく弾力がありますが、古くなったホースが硬くなって破れてしまうようなものですね。

いままでは、血管の中に過剰な脂質がたまることが原因とされてきましたが、最近では、慢性炎症がその発症や悪化に関係していることがわかってきました。内臓脂肪型肥満などによって血管に慢性炎症が起こると、血管の壁が傷つき、そこにコレステロールが入り込みます。

すると、これを排除するために白血球が集まってきて、コレステロールを食べます。結果、コレステロールを食べて死んだ白血球の死骸と、残ったコレステロールがたまって、血管壁にコブ(プラーク)ができてしまいます。

このとき、血管の線維化も起こって、血管が硬く、柔軟性がなくなってきます。

慢性炎症が続けば、血管にできたコブは大きくなり、動脈硬化が進行していきます。最終的にプラークが破裂すると、その傷口を修復するために血液の塊ができて、それが血栓となり、血管をつまらせてしまうことに。これが心臓で起これば心筋梗塞、脳で起これば脳梗塞となってしまうのです。

慢性炎症が、知らず知らずのうちに、命にかかわるような病気を引き起こすリスクがあることをご理解いただけたでしょうか?

慢性炎症は、体の機能を低下させるため、すぐに病気にならなかったとしても、体の調子を悪くする原因にはなります。医療施設では「どこも悪くない」と言われても、「なんとなく調子が悪いんだよな……」と感じたら、あなたの体の中では慢性炎症が悪さをしているのかもしれません。

※本稿は、『名医が教える 炎症ゼロ習慣 ~体内年齢が10倍若返る~』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

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