四宮先生いわく「大切な人を亡くしたときの後悔は起こるのが当然」とのこと(写真提供:Photo AC)
重い病を抱えた患者や、その家族の身体や心などに生じるつらさをやわらげ、なるべく生活の質を維持するためのサポートを意味する「緩和ケア」。1990年には全国で5施設しかなかった緩和ケア病棟も、2017年には394施設にまで増加(「日本ホスピス緩和ケア協会」調べ)するなど、日本でも普及が進んでいます。一方で奈良県立医科大学の四宮敏章先生がYouTubeチャンネルを開設、緩和ケアについての解説動画を配信したところ、多くの反響が寄せられています。その四宮先生いわく「大切な人を亡くしたときの後悔は起こるのが当然」のことで――。

がんの遺族の7割が後悔の気持ちを持っている

がんで大事な人を亡くした遺族は、さまざまな苦しみを抱いています。

最も多いのは「後悔」です。ある調査では、がんの遺族の7割が後悔の気持ちを持っていると答えています。

私の経験でも、遺族の方は多かれ少なかれ「ああすればよかった」「もっとできることがあったはず」と、悔いている方は多いです。

「病気に気づいてあげられなかった」
「しっかりと看病できなかった」
「最期の臨終に間に合わなかった」などさまざまです。

こうした思いは時間とともに薄れていき、前向きになっていく方も多いのですが、一方で、何年も後悔の気持ちが消えず、ずっと苦しい気持ちを抱えている遺族の方も少なからずいます。長い方ですと、5年、10年とつらい気持ちを抱えている方もいます。

私は遺族外来で、多くの遺族の方を診ていますが、みなさんとてもつらい気持ちを抱えています。