源泉徴収義務者(民間の事業所に限る)に勤務している給与所得者(所得税の納税の有無を問わない)を対象とした「民間給与実態統計調査」が国税庁より令和4年9月に発表。それによると1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は443万円(対前年比 2.4%増)となっていました。しかしジャーナリストの小林美希さんは「現実には、年収443万円では普通の暮らしをするのが難しい」と言います。たとえば小林さんが取材した、北陸地方で電車運転士を務める吉川耕太さんの場合――。
共働きで年収900万円、それでも不安は大きい
地元の北陸地方の平均的な収入より僕の収入は多いかもしれませんが、不安は大きいです。特に最近では不妊治療を始めることで一層、不安になっています。いったい、いくらかかるんだろうって。
何度か転職し、この1年は電車の運転士の仕事をしていて年収は450万円です。地元の相場からすれば、地方公務員と比べても、もらえているほうではないかと思います。
基本給が20万円、そこに家族手当や運転士手当、通勤手当、残業代などがついてトータルで月30万円。手取りは25万円です。
1歳年上の妻の年収は400万円から450万円くらい。二人合わせた収入は900万円ほどになります。
問題は、妻の仕事は5年を期限とした事業ごとに契約されるようなものなので、5年ごとに失職の可能性があるということです。目の前の収入はあるように見えても、いつ仕事がなくなるか分からない。だから、できるだけ節約しないと。
妻の職場は僕たちが住んでいるアパートから少し離れていて、妻の実家の近くにあります。繁忙期には妻は実家から仕事に出て、週末にこちらに戻って一緒に過ごすという生活をしています。