ブラック企業に就職、心身がボロボロに

もともと大学進学で東京に出て、学費は奨学金で賄っていました。親からの仕送りは家賃の5万円だけ。あとは居酒屋でバイトして生活費を稼いでいました。Uターン就職しようと北陸地方で就職活動して、入社したんです。

『年収443万円―安すぎる国の絶望的な生活』 (著:小林美希/講談社現代新書)

2008年のリーマンショックから4年後の就職でしたが、まだリーマンショック前の大卒就職率の水準には戻っていなくて、大卒就職率が63・9%でした。厳しかったです。

入社した物流会社はブラック企業で、倉庫で朝6時から夜11時まで働いて、残業を100時間以上しても20~30時間分しか残業代はつきませんでした。そのうち過労で膝が悪くなって歩くこともできなくなり、入社2ヵ月でわけのわからないまま辞めさせられました。

それからニート状態になったのですが、なんとか夢だった電車の運転士になろうとやり直して、東京でも運転士として働いていたことがあります。

けれど東京で運転士をしていた頃は上司からのパワハラが絶えず、ミスをすれば詰問される。「鉄道会社あるある」ですね。もちろん安全のためだとは思いますが、教育的な指導というより、精神的に追い込んでいく、まさにパワハラなんです。社員は心を病んでどんどん辞めていきました。

給料も良くて、休みもきちんととれていたのは良かったのですが、もう、精神的に限界でした。身も心もボロボロって、そのときは自分のことをいうんだと思いましたよね。体重はどんどん減って50キロくらいしかなくなって。美容院に行く気力もなくなって。

でも、奨学金で大学に通ったから返済があるし。どうしても働かないと。ちょうど、故郷の両親のことも考えて、このまま東京にいてもなぁ、と思い始めて、辞めて故郷に帰ったんです。この頃もボーナスには手をつけず貯金していましたが、引っ越し費用に消えました。