高齢者の排泄ケアについて普及啓発を進めてきた第一人者、西村かおるさん。しかし実母の介護では思い通りにいかず、さまざまな壁に直面したといいます。試行錯誤の末にたどり着いた、負担を減らす介助のコツとは――(構成:古川美穂 撮影:藤澤靖子)
排泄が変わると全身状態も改善する
私の母に限らず、排泄ケアを受ける側は皆さん、戸惑いや恥ずかしさ、負い目、尊厳を傷つけられる苦しみなどを、大なり小なり感じています。排泄介護はする側・される側それぞれに、受け入れるための時間がかかるもの。でも、困った状態はいつまでも続くわけではありません。
私の場合、状況が変化して介護が楽になったのは、母の病気がきっかけでした。蜂窩織炎(ほうかしきえん)という感染症にかかって右手が腫れ、おむつに入れる新聞を折れなくなってしまったのです。それを機に私が排泄ケアに積極的に介入したら、全身状態がどんどん改善していきました。
母は失禁性皮膚炎によるかゆみがひどく、そこに自分でアロエを塗っていたのです。でも適正な尿取りパッドに替えて正しく交換し、患部にはアロエの代わりに亜鉛華軟膏を塗ったら、一番つらかったかゆみがすぐに取れました。すると夜ぐっすり眠れるように。
睡眠が取れると体力がついて食事量が増え、体重も増加し、より元気になっていく。免疫も上がり、それまで頻繁にしていた咳が出なくなり、さらに夜よく眠れるようになるという好循環。
おむつを替えただけでオセロをひっくり返すみたいにパタパタと変化が起こりました。