カメラやスマホのカメラの機能も進化し、「上手な」写真は誰もが撮れるようになりました。では、そのなかでプロはどのように「人の心を掴む」写真を撮っているのでしょう?
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第15回は「順光で建物を美しく撮る方法」です
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第15回は「順光で建物を美しく撮る方法」です
冬の朝の光は建物を撮るための素晴らしい調味料だ
〔 撮り方 〕
少し古めのオフィスビルと倉庫群が並ぶ。そこをドラマチックに撮りたくて冬の朝に向かった。
現地で見つけたのは、斜光でギラギラ輝いている建物のベランダ側の配管や手すり、窓枠だ。
露出を-2EV前後のアンダーにして、仕上がり設定をシックな色調に設定。
画面に変化をつけるために、コントラストを高めに設定し左右の建物の間にシャドー部を配置。
これで右の建物のシャドーと左の建物のシャドーが対比構図になり変化が生まれた。さらに望遠レンズの圧縮効果を利用して、より画面のパターン化を図った。
この作品のポイントは、輝く配管や無機質なビル群をメカニカルな機能美として表現したことだ。