相原さんの処方箋

写真を拡大 (撮影=相原正明さん)

〔 処方箋 〕

建築竣工写真の場合、順光で建物ディテールがきれいに出るように撮る。

この作品のような斜光では撮らないのが通常だ。

あるいは前出したように、薄暮の時間に照明が点いてから撮ることが多い。

この作品では、建物をメカっぽく撮りたかったので、あえて冬の朝の斜光を使った。

冬の光は太陽の位置が低いので、建築や鉄道車両などを撮るのに向いている。

建築では庇の影が弱くなり、鉄道車両では台車部分まで光が回りディテールが出やすい。

さらに空気が乾燥しているので画像がシャープになる。

夏は陽炎で大気も揺らぎ、画面の抜けも悪くなり建築物の線を美しく出すのが難しい。

建築は造形美であり、建物の線がどれだけ美しく表現できるかが撮影の要。

特に近代建築のガラス張りや安藤忠雄風の建物などは、冬の朝夕の時間帯はゴールデンタイムだ。

冬の光は素晴らしい作品を生み出すための調味料でもある。

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