ハイテンションなボケ担当の長谷川雅紀さん(51歳)、落ち着いた口調で手綱を締めるツッコミ担当の渡辺隆さん(44歳)。長い下積みを経て漫才コンビ・錦鯉として「M-1グランプリ2021」で史上最年長王者に輝き、一躍時の人に。苦節ウン十年、人生後半に幸運を掴んだ2人に心境を聞いた(構成=村瀬素子 撮影=宮崎貢司)
出会ったことが最大の幸運
渡辺 当初は2人とも「売れてやろう」とは思っていなくて。芸人を続けられればいいやぐらいの気持ちで、ダラダラやっていたから、14年までは相変わらず芽が出なかった。それが15年のM-1グランプリで準々決勝まで残った頃から、状況が好転して。
長谷川 一度終了していたM-1が、15年に復活したのも運がよかった。
渡辺 もっと上まで行けるかもと手応えを感じ、月に5本、新ネタを作ることを自分たちに課し、初めて本気を出したよね。
長谷川 その頃に、先輩のハリウッドザコシショウさんから「バカを前面に押し出せ」とアドバイスされたのも大きかった。
渡辺 長年やってきて僕もやっと気づいたけど、わかりやすくないと笑いはとれない。それを一発で表現できるのが雅紀さん。見た目はおっさんなのに、中身は小学4年生というのを「こ~んに~ちは~」の元気な挨拶でわからせちゃう。これで錦鯉のスタイルが確立したんです。