白と黒の丸っこいカラダ、愛らしい顔…初めて日本に来た1972年より、ジャイアントパンダは多くの日本人に愛され続け、その姿をひと目見るために行列ができます。現在、日本で最も多くのパンダを飼育してる和歌山県にあるアドベンチャーワールドの「パンダチーム」が教える、パンダの魅力とは。かわいい反面、その生態に未知の部分が多くミステリアスな動物であることも理由の一つ。今回はパンダの育児方法について紹介します。
一度に1頭が限度
赤ちゃんは生後数日でピンクの体に産毛が生えそろい、1週間ほどで白黒の模様がうっすら表れます。そして1か月ほどで体全体が毛でおおわれると、母親が抱っこしていなくても体温が保たれるようになります。生えたばかりの体毛は、ふわふわでもこもこ。本当にぬいぐるみみたいです。
このように体毛が生えるとお母さんも少し楽になります。それまでは24時間、片時も赤ちゃんを離さず抱っこしますので、ほとんど熟睡はできません。うとうとできても、腕が緩んで赤ちゃんが落ちて大声で鳴くと、ハッとしたように起きて抱きなおしたり、赤ちゃんのおなかが空いていれば、乳首まで動きやすいように体勢を変えたり。
また、排泄を促すためにも、とにかく体をよくなめます。毛が生えそろったころのパンダの赤ちゃんの白い部分がピンクになることがありますが、これはお母さんの唾液の成分。母親によくなめてもらった証なのです。
抱っこ、なめる、授乳……と赤ちゃんのお世話は何十分間隔の小刻みで続きます。このように小さく産むからこそ手厚い世話が必要な子育ては、一度に1頭が限度です。そのため、野生では双子が生まれても大きいほうの赤ちゃんしか育てることができません。
飼育下では双子が生まれたら、成都ジャイアントパンダ繁育研究基地で編み出された「入れ替え保育」でフォローします。双子の1頭がおっぱいをたっぷり飲んでおとなしくなったら、母親から赤ちゃんを預かります。