永明も実は双子

双子の赤ちゃんのどちらにも確実に初乳を飲ませるために開発されたのが「入れ替え保育」で、1990年、成都ジャイアントパンダ繁育研究基地でこの方法を用いて初めて双子育成に成功しました。

その時の母親が育児経験豊富な「慶慶(ケイケイ)」、実は1988年にアドベンチャーワールドに短期借受展示されたことがあるパンダだったのです。

その後、さらに手法が確立されて双子でも両方育つようになり、2000年代以降は赤ちゃんの生存率が80〜90%と確実に向上しました。

1992年9月14日生まれの永明も実は双子。翌日に第二子の永亮(エイリョウ)が生まれましたが、母親が育児放棄したので人工保育にしたそうです。永亮の場合も、生後3日間は母親から搾乳した初乳を飲ませていたので無事に育成したのです。もし、永亮が初乳を飲んでいなかったら、育たなかったでしょうね。

 

※本文データは特記がない限り、2022年11月現在。

※本稿は、『知らなかった! パンダ――アドベンチャーワールドが29年で20頭を育てたから知っているひみつ』(新潮社)の一部を再編集したものです。


知らなかった! パンダ――アドベンチャーワールドが29年で20頭を育てたから知っているひみつ(著:アドベンチャーワールド「パンダチーム」/新潮社)

なぜ白と黒? 先祖は肉食!? 走ると早い!
かわいいだけじゃない魅力と謎を徹底解説!

四半世紀を超えてジャイアントパンダを飼育するアドベンチャーワールドは中国を除くと世界一の繁殖例を誇る日本の施設。人間に換算すると約90歳の父・永明を筆頭に、グレートマザー良浜とその娘たちを日々お世話する飼育スタッフが、意外な素顔や出産・育児、不思議な生態について詳しく紹介。誰かに話したくなるトリビア満載!

 

アドベンチャーワールド(和歌⼭県⽩浜町)

温暖な紀伊半島の和歌⼭県⽩浜町にある陸、海、空の140種1400頭の動物が暮らす「こころにスマイル未来創造パーク」をテーマに掲げたテーマパーク。ジャイアントパンダをはじめ、希少動物の繁殖に成功し、保護研究活動に努めている。

■公式HP:https://www.aws-s.com/