イラスト:濱愛子
相手に想いを伝えようと筆をとっても、何をどう書けばふさわしいのか悩んでしまう。そんな人のために、書き方のルールや美しく見えるコツを伝授します(構成=島田ゆかり イラスト=濱愛子)

「相手を想う時間」が受け取る人に届く

家族や友人間の連絡は、もっぱらメールやLINEという人も多いでしょう。デジタルツールは、用件だけのやり取りができる手軽さがメリットです。けれど、コロナ禍で会いたい人に気軽に会えなくなった今、心を伝える「手紙」が見直されるようになりました。

「元気にしてる?」「もうすぐ春ですね」など、手書きのメッセージが綴られた手紙が届くと嬉しいもの。それは、「相手を想う時間」を感じることができるからです。

はがきや便箋を選び、手書きで文章を綴り、切手を貼ってポストに投函する。その想いが伝わり、受け取った人が温かい気持ちになるのです。

気負って書く必要はありません。あなたも、友人や知人に一筆書いてみませんか。

ここからは、実際に手紙を書く際に、覚えておくとよいことをご紹介していきましょう。
手紙は、本来「封書(封筒+便箋)」をさします。近年は「はがき」「一筆箋」も含まれるようになりましたが、それぞれ、書き方のコツが違うことをご存じでしょうか。

もっとも手軽で使いやすいのが「はがき」です。封書と違って内容が人目に触れるため、込み入った内容を書く場合には使えませんが、お礼状や季節のあいさつなど、日常的に使えます。絵柄が入ったものなど種類も多く、相手のことを想って選ぶのも楽しいでしょう。

はがきには、「簡単な書き出し+主文(用件)+簡単な結び」を書くのが一般的です。「拝啓」といった頭語や改まった時候のあいさつは不要で、「先日はありがとうございました」などから始めてかまいません。

結びに「ご返信には及びません」と書き添えておくと、受け取った人が「返事を書かなくては!」とプレッシャーを感じることもないのでおすすめです。私はこの結びの一文をよく使っています。手紙を書き慣れていない人は、はがきから始めてみてはいかがでしょうか。

次に使うことが多いのは、贈り物やおすそ分けなどを送る際に、ひと言書き添える「一筆箋」でしょう。こちらは相手のお名前(※※様)+主文+自分の名前のみでOK。

物品だけでなく、ひと言添えるだけで、気持ちがより伝わる便利なツールです。縦書きなら、よりフォーマルな印象を与えます。