宝塚歌劇団・宙組の初代トップスターを務め、退団後もさまざまな活動を続ける姿月あさとさん。自ら企画した宙組25周年記念コンサート『明日へのエナジー』が2023年3月3日にいよいよ開幕。「歌」に向き合う毎日を語ります。
(構成=藤野さくら 撮影=初沢亜利)
(構成=藤野さくら 撮影=初沢亜利)
宙組の《原点》を伝えたい
私は1987年に宝塚歌劇団に入団したので、2022年に芸能生活35周年を迎えました。こんなに長い間、この仕事をすることになるとは思っていませんでしたね。ライブのポスターでは35周年と銘打っているのですが、私自身、それほど意識はしていません。毎月ライブがあるのも今まで通りですし、ライブを自分でプロデュースするというのも変わらぬスタンスです。
3月に予定している、宙組25周年記念コンサート『明日へのエナジー』も、私が企画したもの。宙組は誕生から25年経って、今では「コーラスが圧巻」とか「芝居が現代的」などと評価していただいているようですね。当時の私たちが必死で作ったものが受け継がれていることが嬉しいです。
考えてみれば、花・月・雪・星・宙と5組あるなかで、ほかの4組は大正から昭和初期の創設のため、いま生きている初代トップスターは私だけ。なんにもないところからみんなで組を作っていった経験を語れる存在というのは貴重かもしれない、と最近、気づきました。
それならば、立ち上げメンバーの和央ようかさん(宙組2代目トップスター)や湖月わたるさん(元星組トップスター)らとともに、あの頃の宙組の《原点》を改めて伝えてみたいと思ったのです。
その鍵は、今回のタイトルにもなっている「明日へのエナジー」。創設当時、トップお披露目公演として上演したショー『シトラスの風』の一場面なのですが、これこそ宙組が一丸となって作り上げたもの。
『シトラスの風』は再演されることが多い演目です。なぜこれほど皆さまの記憶に残っているかというと、あの頃の宙組生の心の持ちようにあると思うんですね。