甘っちょろい気持ちで生きていない

いま52歳。頬についたマスクの痕はなかなか取れないし、身体がしんどいと感じたり、集中力が続かなくなったりすることもあります。もの忘れも増えましたね。(笑)

それが年を重ねていくことだというのはよくわかっているので、「あら、こんなことができなくなっちゃったのね」と受け止めつつ、やるべきことは一つひとつ丁寧にこなすように心がけています。整理整頓してお掃除して、もう毎日が一所懸命ですよ。

自炊もします。お野菜だったら、洗っていると虫さんが出てくるような、有機栽培のものを選んでいます。食品ロスが気になるので、キュウリなどは形が悪くても気にしません。素材が良ければ、そのままでも美味しくいただけますし。

疲れている時には、カカオ85パーセント以上のチョコレートを。少しお高いですけど、その分、脳が活性化される気がするので奮発しています。話題の「NMNサプリ」や、「オートファジーダイエット」もチェックしていますよ。アンチエイジングを目指すというよりは、なるべくこのままの状態を保っていきたいので。

おかげさまで、『明日へのエナジー』の後もライブが決まっています。こうやって仕事が続いているのはありがたいこと。とはいえ何が起きるかわからない時代です。だから私はライブやコンサートに、「これが最後だ」というくらいの気持ちで取り組んでいます。

最近は、毎回のステージが《生前葬》だと考えるようになりました。生前葬は、自分で写真を選んだり、衣裳を考えたりしますよね。それなら私がやっているライブやコンサートも同じだなと思ったのです。

私は常々「お葬式はしません」と言っているので、お葬式に来てもらう代わりに、今打ち込んでいる舞台をさまざまな方に観ていただきたい。お互い生きているうちに、楽しかったね、また会おうねと言いたいのです。

この仕事を「ずっとやります」と言い切るつもりはありません。いつ舞台に立てなくなるかもわからないし、いつか声が出なくなるかもしれない。それは本当に、誰にもわからないこと。適当な前向きふうの言葉を口にするのは違和感があります。そんなに甘っちょろい気持ちでは生きていないぞ、と。

私の兄は35歳で急逝したので、現実にそういうことが起こりうることも知っています。私の芸能生活が35年を迎えた時に思ったのは、「兄の人生と同じぐらいの長さなのか」ということ。35年が長いのか、短いのか。人によってどちらにもとらえることはできます。

人の寿命は決まっていないからこそ、「この先何々をしたい」と未来のことを考えるよりは、その時その時を懸命に過ごすことが大切。それで毎日が楽しかったら、いちばんだなと思いますね。


姿月あさとさんライブ情報公式サイト

●Cosmos 25th Special Concert『明日へのエナジー』
 3月3~6日 東京・よみうり大手町ホール
 3月11~14日 兵庫・宝塚バウホール

●『THE PRAYER XⅦ』
 3月25・26日 東京・COTTON CLUB

●『昭和歌謡祭 Vol.5』
 4月29日 東京・日本橋三井ホールゲスト:春風亭一之輔