関脇・豊昇龍が初優勝
大相撲名古屋場所は優勝決定戦の末、関脇・豊昇龍(24歳)が初優勝を果たし、大関昇進を確実なものとした。敢闘賞も初めて獲得。
千秋楽で初優勝を争ったのは、11勝3敗の豊昇龍、前頭9枚目・北勝富士、新入幕の前頭17枚目・伯桜鵬の3人。
まず、北勝富士が前頭筆頭・錦木を引き落としで破り、決定戦への権利を獲得。「北勝富士は相撲人生の全てをかけたい」と話していると、NHKテレビの実況・太田雅英アナウンサーが報告した。
豊昇龍は伯桜鵬と対戦。伯桜鵬のにらむような鋭い目つきと、堂々とした仕切りは、とても19歳とは思えない。新入幕で優勝したら109年ぶりの快挙となる。豊昇龍はだいじょうぶか?と思ったら、素早く上手投げをうち、伯桜鵬は土俵に崩れた。太田アナウンサーが「番付の重みを示す12勝目」と言った。さすが関脇だ!
優勝決定戦は、廻しを取りたい豊昇龍と、取らせずに押したい北勝富士の戦いとなり、最後は北勝富士が引いてしまい、豊昇龍が押し出しで勝った。
豊昇龍は勝ち名乗りを受けるときに涙、土俵を降りる時も涙、花道でも涙、支度部屋でも涙が止まらない。嬉し泣きが清々しく見える。
優勝賜杯などを授与されたあと、土俵下でNHKアナウンサーのインタビューを受け、「この嬉しさを一番誰に伝えたいですか?」と聞かれ、「親方(元小結・旭豊の立浪親方)に、そのあと叔父さんに言いたい」と笑顔で答えていた。
「叔父さん」とは、優勝25回の平成の横綱・朝青龍のこと。朝青龍は気が強く、負けた時に花道で「チクショウ!」と大声を上げたのを、私は国技館でナマで聞いた。豊昇龍は今後優勝を重ねても、花道での大声は真似しないでほしい。
今場所は豊昇龍、大栄翔、若元春の3関脇が、場所後に大関に同時昇進することが最大の注目となっていた。ところが大関への昇進の目安となる3場所連続33勝に千秋楽で到達したのは豊昇龍のみ。それでも今場所二桁の成績をあげ、来場所も活躍すれば大関への道は開ける。しかし、大栄翔も若元春も9勝6敗で終わった。大関取りの道は厳しいのだ。