池上さん「バブル崩壊後に格差が拡大し、『一億総中流』の意識も過去のものとなった」(写真:本社写真部)
「第二次世界大戦後の現代史は歴史的価値が定まっていないことが多いためか、学校で学ぶ機会が少ない」と話すのがジャーナリストの池上彰さん。その池上さんいわく「バブル崩壊後に格差が拡大し、『一億総中流』の意識も過去のものとなった」そうで――。政治、経済、外交、安全保障、エネルギー……。授業では教えてくれない現代史を池上さんが解説します。

日本は「世界で唯一、成功した社会主義国」?

高度経済成長で豊かになった日本は「世界で唯一、成功した社会主義国」と皮肉をこめて呼ばれることがあります。

これはもともと旧ソ連のゴルバチョフ書記長の言葉です。大統領制を作って自ら大統領になったので、ゴルバチョフ大統領とも呼ばれます。そのままソ連が崩壊してしまったので、最初にして最後のソ連大統領でした。

ゴルバチョフはソ連共産党のトップとしてソ連の停滞に危機感を抱いていました。

1917年にロシア革命が起こり、5年後にソ連が成立しました。70年近く社会主義を続けてきたものの経済は停滞するばかり。

そこで、1986年に立て直し(ペレストロイカ)を掲げ、その柱として情報公開(グラスノスチ)を進めました。ゴルバチョフは国民にソ連の実態を知らせることで奮起を促そうとしたのでしょう。