1976年6月、メトロポリタン歌劇場(MET)にデビュー。フェルナンド・ブフォネスと(写真提供:松山バレエ団)
新しいエンタメが数多く誕生する中、長い歴史を誇り受け継がれるクラシックバレエ。今回は、舞踊歴70年を超えて舞台に立つプリマバレリーナ、森下洋子さんのバレエ史を振り返ります。ヴァルナ国際バレエコンクールで日本人で初めて金賞を受賞した森下さんは、文化庁の在外研修員として夫となる清水哲太郎さんとともにモナコに留学。森下さんいわく、彼の存在は、「夫婦というより戦友、同志」とのことで――。

グレース公妃主催の公演

留学生活の締めくくりは、グレース公妃が主催されたモナコ公レーニエ3世のお誕生日を記念する公演。

グレース公妃はとてもバレエがお好きで、理解もとても深い。レーニエ公のお誕生日にバレエをと思われ、11月に開催されたのです。

《グレース・ケリー公妃(1929〜82年)は米国出身。映画女優として一世を風靡(ふうび)したが、56年にモナコ公国元首のレーニエ3世と結婚し、「世紀のロマンス」と話題に。生涯バレエを愛したが、交通事故が原因で死去》

私が踊ったのは、オスカー・ワイルド原作の『漁夫とその魂』。日本が大好きな公妃におすすめいただいて、衣装デザインは森英恵(もりはなえ)先生。

公妃は大変喜ばれ、帰国する時は「また戻ってきてくださいね」とおっしゃってくださったのも素敵な思い出です。