今や結婚した夫婦の約3組に1組が離婚するという日本。離婚理由はさまざまですが、「不倫」が原因となることも。直木賞・柴田錬三郎賞を受賞した作家、唯川恵さんが話を聞いた方の中には、74歳にして夫の不倫を知った女性もいたのだとか。今回は、その74歳・郁代さんへのインタビューを3回に渡ってお届けします。郁代さんは「結婚してから頭を悩ますこともありました」と言っていて――。
74歳の郁代さん
私の目の前にいる方は、74歳の郁代さん。
現在、76歳の夫・修さんと横浜郊外の一戸建てで暮らしている。娘ふたりは結婚し、子供もいて、それぞれ家庭を築いている。
テーマが恋愛なのですが、よろしいですか。
「ええ、もちろん。でも、もうこの歳ですから、期待外れの話になってしまうかもしれませんけど」
どうぞお気になさらずに。
「何からお話しようかしら」
では、自己紹介から伺わせていただきます。
「私はいわゆる戦後第一次ベビーブームの団塊世代です。とにかく人数が多かったから、1クラス50人以上も生徒がいて、それでも教室が足りないから、化学室やら美術室までつぶすような状況でしたね。何をやるにしても競争社会で、受験戦争も経験しています。いちおう第1志望の私立大学に合格できたのでホッとしました」
学生生活はどのような?
「学生運動の真っただ中でしたから、巻き込まれるような形で私も集会に参加したりしていました」
活動に熱心だったのですか?
「だからってのめり込むようなことはなく、今思えば好奇心だったのでしょうね、その時代の通過儀礼とでもいうべきかしら。いろいろありましたけど、大学を卒業し、就職もしました」