せめて傷ついてくんないかな
男たちを褒めながら、触りながら、触られながら、バカにされながら、気に入られながら、持ち上げながら、時に落としながら、下ネタに笑いながら、乗っかりながら、乗っかり過ぎないようにしながら、帰りはタクシー代をもらいながら、男たちが帰ったあとは、コンパニオン仲間と「バカみたいなオトコ、簡単」と言いながら電車で帰る、それが楽にできたらどんなに良かっただろうか。
それができていたら、まだ地元にいたかもしれない。できないから次をさがした、だって、うまくできないんだもの。
別に、そのオトコたちが憎かったわけでなくて、わたしは、うまくやりたかっただけで、たとえ好きなオトコにだって難しいんだ、わたしは。
テレビの中では、“男女平等”を声高に叫んでいる。“男女平等”とは、一体なんだろう。
上京したって、状況は変わらなかった。飲みに行けば、触り触られの世界だったし、気に入られないと呼んでもらえないこともあれば、同じような状況で「女性として真剣に気に入っている」というようなことになることもあり、わたしには、男女の機微は全くわからなかった。
お酒の席での男女の雰囲気とは、どちらに進むかわからないのか、もしくはわたしが疎(うと)すぎるだけなのか。
「オトコは傷つきやすいんだからさ」
と言われたって、お酒ガンガン飲んで、触って、怒鳴って、謝って、甘えて、また怒鳴って、つぶれる。
そんなオトコたち、せめて傷ついてくんないかな。