なんて日だ!
わたしは
「スキーウェアを前後ろ間違えたからですか?」
と返事を出した。
そうしたら
「それだけじゃありません」
とまた返事がきて
「教えてください」
と聞いたら
「いや。別にないんだけど。青木って授業のチャイムが鳴ってから走ってるんだけど。僕、構内を走る人ってどうかと思う。カセットテープを貸したときに、最後まで巻き戻してなくて、巻き戻してほしかった。別にいいんだけど。ほら、今も、ベルトをさ、ベルト通しに通してない、通ってないよ、それ。知ってたかな?」
別にないんだけど? 気に入らないところ、羅列しましたよね。
「真面目な人かと思って、合うと思ったんだよね」
「わたし? 真面目は、真面目ですよ」
「だらしないのかな」
「だらしないんでしょうか」
「ごめんね」
「なにがですか?」
「つき合えなくて」
「大丈夫です」
「相談は、のれるから」
「なんのですか?」
「なんでも」
「ありがとうございます」
「構内で会ったら」
「はい」
「挨拶はしよう」
「はい」
「泣かないで」
気づいたらわたしは泣いていた。なんの涙かはわからないけど、なんて日だ! と思った。