「嫁ぎ先の義母にがんがみつかり、そこから暮らし向きがガラリと変わってしまったのです」

幼い頃は人見知りでおとなしかった

それにしても不思議な流れを感じます。私の人生の前半は笑顔とは無縁な地味で暗いものだったのに……と思うのです。

そもそも私は人見知りでおとなしい子どもでした。友達の輪に入っていくのが苦手で、いつも一人で大好きな読書をして過ごしていたのです。読書タイムを確保しつつ、人と極力接しなくていい仕事は…と考えた末に、将来は貸本屋さんになりたいと本気で夢見ていたことを覚えています。

実際には大学卒業後、企業に就職し、25歳で職場結婚をして専業主婦になりました。ほどなくして息子が生まれ、3年後に娘にも恵まれ、20代は子育てに追われながらも幸せな日々を送っていたのですが……。30代に入って娘が2歳になる頃、嫁ぎ先の義母にがんがみつかり、そこから暮らし向きがガラリと変わってしまったのです。

嫁いだ家は、広い敷地の中に夫の祖父母の家と両親の家と私たち家族の暮らす家があったのですが、すでに認知症を患っていた祖父と最後は身体の3分の2が思うように動かせなくなった祖母の身の回りのことを長男の嫁である私が一手に担うことになりました。当時は今ほど認知症や介護に関する情報がなく、介護保険が施行される以前だったこともあって、少なくとも私には一人で抱えるしか術がなかったのです。