5年前、13年ぶりのユニフォームに袖を通した夫

そして今シーズンでコーチ業を解かれ、久々に家にいる時間ができたというわけだ。

夫が5年前ジャイアンツのコーチとして13年ぶりにユニフォームに袖を通してたときから今シーズンまで、どこか我が家の中では「父さん」を太平洋の彼方へ送り出していたような、巨人軍として出征する夫に「お前さん、ちょっと待っとくれ」カチカチ、と切り火を切ったような気持ちでいたのはたしかだ。

いやいや大神、いくらなんでも大袈裟と思われるかもしれないが…この連載は脚色しないのがモットー。カチカチカチ、本当です。

わたしが野球に疎いのはご存知の通り。
でも日本人は今も野球が大好きなのだということは十分理解している。
伝統の巨人軍にまた呼んでいただけたのなら、しばらくは家庭より野球に尽くして、どうぞいってらっしゃい。夫の嬉しそうな様子は、それまで見たことのなかった姿だった。

13年も球団から離れていたけれど…。
外れた肩がスコン!と入ったような、口をパクパク苦しそうだった魚が水に帰されて
「うっひょー!『水を得た魚』、まんまやないかい〜!」とでも言うようにくるくる泳ぎ回る、あの感じだ。