廣瀬さん「不景気により若者の消費志向も変化している」(写真提供:Photo AC)
三省堂の「辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2022』」の新語ベスト10の大賞に、タイパ(タイムパフォーマンス)が選ばれました。「時間的な効率」を意味するこの言葉は、「若い世代はタイパを追求する」という文脈で使われるそうです。そんな若い世代、特に「Z世代」と呼ばれる若者には「とにかく失敗したくない」という行動原理があると語るのはニッセイ基礎研究所生活研究部研究員の廣瀬涼さん。廣瀬さんは「不景気により若者の消費志向も変化している」と言っていて――。

大学生の生活費は30年で4分の1に

コスパが追求されるようになった要因は不景気にあり、「失われた30年」を中心に、日本の経済の停滞がコスパという概念が普及した要因であると考える。

一方、若者を中心にタイパが追求されるようになったコンテンツ視聴方法においても、不景気が大きく関係している。

東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)が、1都3県(東京、埼玉、千葉、栃木)の11の私立大学・短期大学に2022年度に入学した新入生の保護者を対象に行った「私立大学新入生の家計負担調査 2022年度」によれば、月平均仕送り額から家賃を除いた生活費は2万1300円であった。

ちなみに過去最高は1990年度の7万3800円で、この30年間で大学生が親からもらえる生活費は4分の1近くに減少した。