今年4月の集合住宅へのミサイル攻撃では子どもを含む23人が犠牲に。亡くなった同級生の遺影を見つめる子どもたち(ウマニ/撮影◎筆者)

「戦争は人間の悲しみそのもの」

私はこれまで、ミサイル攻撃で市民が亡くなった現場を各地で取材してきた。そのどれもが、悲しみと憤りに満ちていた。今年4月、中部の町・ウマニでは、集合住宅に炸裂したミサイルで23人が犠牲となった。そのうち6人が子どもだった。

破壊された住宅の脇に設けられた慰霊台には、同級生がぬいぐるみや花を手向けに訪れていた。亡くなった友達の遺影を前に、5年生の少女が言った。

「まさかこんなことが起きるなんて。第二次大戦の時代に生きているようです。どの国にも戦争をしてほしくない。戦争は人間の悲しみそのものだから」

ミサイルが断ち切った、たくさんの命とひとりひとりの未来。いったいどれほどの犠牲が出なければならないのか。戦争で苦しむのは、高齢者や子ども、力なき市民だ。

プーチン大統領とロシア政府の責任は当然問われるべきだ。だが、この非道を止められない国際社会も重い責任を負っている。私たちは、子どもたちに、これがあたりまえの大人の世界だなどと思わせてはならない。

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