隊長の葬儀には、ドイツに避難していた妻も駆け付け、体を震わせ涙を浮かべていた(ミコライウ/撮影◎筆者)

ナターシャさんと出会えた一方、私にとって悲しみの「再会」となった人がいる。この村を守ったオレグ隊長が戦死した知らせが届いたのだ。

オレグ隊長はノバ・ゾリャ村での戦闘ののち、東部の激戦地バフムトに移り、負傷兵や戦死者を搬送する任務についていた。5月11日、前線の塹壕にいたところにロシア軍の砲弾が命中。部下の兵士6人とともに命を落とした。

遺体はバフムトから戻り、ミコライウで葬儀が行われた。隊長を慕っていた兵士たちが、棺を担いだ。私は小さな赤い花を棺に添えた。こんな形で「再会」するなんて……。

昨年、前線の村でともに戦っていた中尉は、無念だと語った。

「彼はサムライだった。いつも仲間のことを第一に考えていた。真の戦士だ」

隊長の妻は避難先のドイツから駆け付け、棺を見送った。涙を流しながら体を震わせていた姿が忘れられない。これが、ウクライナで続いている戦争の現実だ。他方で、この戦争に動員されて死んでいったロシア兵の側にも家族がいて、つらい思いをしているだろう。