「制限された環境での創意工夫」が大好きだ
映画作品に心を揺さぶられるとき、私がもつ感想は「いい話だ」とか「脚本がよくできている」とか「俳優の演技が素晴らしい」とか「見たこともない演出だ」とか、まあそんなところである。しかし、この2作品にはもっと根の深いところを刺激され、発情した。
お茶を淹れ、腕を組んで考える。まずは2作品の共通点を挙げてみようと思い、すぐに気が付いた。私は「制限された環境での創意工夫」が大好きなのだ。
海に浮かぶコンテナと、長時間密室状態の旅客機。サバイバルには役立たずの積み荷を、知恵と工夫で生き延びるための道具に変える勇敢な妊婦と、搭乗客のなかから役に立つ人材を見つけ出し難題を解決していく保安官。どちらも時間は限られており、命の危険に晒されている。
そういえば昔、サーファーがひとり海に放り出され、サメと戦う映画を観た。なんとかしてサメに襲われないよう、主人公が岩場で踏ん張っていた中盤までは集中して観ていたが、サメとの戦闘アクションばかりになった後半は、興ざめしてしまったのを覚えている。あれは、創意工夫の場面が終わったからだったのだろう。
艱難辛苦(かんなんしんく)を共にした仲間が極限の状態に陥って人間の嫌な部分を露わにするようなドラマや、ひたすらモブ(群衆)が死ぬような作品も好きではない。サバイバルならなんでもいいわけではないのだ。