内藤先生「腸活にとって、菌が生きている必要はありません」(写真提供:Photo AC)
腸内環境をより良い状態にするため、食事に気をつけたり、運動をしたりする活動を指す「腸活」。近年ではブームにもなっていますが、腸内細菌を長年研究してきた消化器専門医の内藤裕二先生によると、人の腸内細菌のかたまりである「腸内フローラ」がそのカギとなるそうです。「腸内環境が改善されれば、腸内細菌が関わっていると考えられる病気を予防できる可能性がある」と話す内藤先生いわく、あくまで腸活にとって、菌が生きている必要はないそうで――。

京都は植物由来乳酸菌の宝庫

私は京都の大学(京都府立医科大学大学院)で研究を続けていますが、千年の都と呼ばれるほど長い歴史を持つ京都は、腸内フローラの改善によいといわれる発酵食品の宝庫です。

発酵食品は微生物(細菌)の力を借りてつくられる食品です。京都の伏見は昔から酒造りが盛んで、今も酒蔵がたくさん並んでいますが、日本酒も発酵食品の一種です。

日本酒は蒸した酒米を麹菌の力ででんぷんに換え、でんぷんを酵母の力でアルコールに換えます。

麹菌も酵母もいろんな種類があって、それぞれに酒蔵で独自のものが使われているようです。もっとも、どの酒蔵でどんな菌を使っているかは企業秘密なので、私たちにも知ることはできません。

そして京都の代表的な発酵食品といえば漬け物でしょう。

ナスなどを刻んだ赤紫蘇の葉で塩漬けにしたしば漬や、聖護院かぶらを薄く切って昆布と漬け込む千枚漬けなどが有名ですが、もう1つ京都を代表する漬け物に、すぐきの葉を乳酸発酵させたすぐき漬けがあります。

とても酸味の強い漬け物ですが、みなさんは食べたことがあるでしょうか。このすぐき漬けから発見されたラブレ菌が、健康飲料などに用いられるなどして一時期話題になりました。