メンタルヘルスの重要性を感じた

ミュージカルの舞台に立ちたいという夢を抱くようになった私は、アメリカ本土のカーネギーメロン大学の演劇科に進みました。母と、まだ中学生のオリバーと離れて暮らすのは心配だったけれど、自分の夢は諦めたくなかったし、11年からは本格的に日本で芸能活動をするようになりました。

オリバーとは頻繁に連絡をとっていましたが、私が家を出てからが一番大変だったと聞いたのは、最近のことです。「ママが体調を崩すと、僕は学校に行けなかった」とも。どんなにつらかっただろう、とすごく心が痛みました。

日本人はメンタルヘルスについて相談することに、とても抵抗がありますよね。母もそうだったのかもしれません。カウンセリングには通っていたけれど、たぶん強がって、包み隠さずカウンセラーの先生に話していなかったんじゃないかと思うんです。

母は、人に迷惑をかけたくない、自分の力で解決したい、という気持ちの強い人でした。本当のところは私にも本心を見せていなかったと思うし、女優という職業だから、よけいに弱みを見せないようにしてた。

1999年には『リ・ボーン―ハワイの光のなかで』という本を出したりしたので、「ハワイに移住したことで、ハッピーに暮らしています」といったイメージを崩すと、みなさんを裏切ることになるというプレッシャーもあったのかもしれません。