厚生労働省が公開している「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック」によると、MCIといわれる認知症になる前の段階であれば、対策を行うことで健常な状態に戻る可能性があるそうです。認知症専門医の朝田隆先生は、このMCIについて「正常な脳と認知症の間に位置する、いうなれば“認知症グレーゾーン”」の状態だと言います。朝田先生によると、「認知症は、毎日の生活習慣が大きく影響して起こります」とのことで――。
「あれ? いつもと違う」が認知症の分かれ道
あなたは、「認知症」という病気にどんなイメージをもっていますか?
「突然発症する恐ろしい病気」「いつ自分がなるかわからない」「防ぎようがない」。そんなふうに考えているかもしれませんね。
でも実際は、認知症は、毎日の生活習慣が大きく影響して起こります。
高血圧や糖尿病と同じように、長い歳月をかけて認知機能が衰えていき発症する生活習慣病の一つであり、認知症に至る20年も前(80歳で認知症になる人は、60歳)から脳の病的変化が始まるといわれているのです。
ただし、ごく初期の段階では、これといった症状は見られません。さまざまな警告サインを発するようになるのは、認知症の前段階である認知症グレーゾーン(MCI:軽度認知障害)になってからです。
具体的な警告サインは、たとえば「もの忘れや忘れ物が増える」「集中力がなくなる」「イライラして怒りっぽくなる」などがあります。
そして、さらにその前段階として「意欲の低下」があります。